ファイザー社が開発した新型コロナ用のmRNAワクチンは、細胞膜貫通部分を持つタイプと持たないタイプの2種類が用意されて試験の結果、細胞膜貫通部分を持つタイプが採用されたと聞きましたが、詳しく教えてください(2026.10.27)
はい、その通りです。 ファイザー/BioNTech社の新型コロナmRNAワクチン開発では、主に2つの候補が並行して試験され、最終的に「細胞膜貫通部分(transmembrane domain)を持つタイプ」である BNT162b2 が採用されました。
BioNTech/Pfizerは複数のmRNA候補を並行開発していましたが、特に重要だったのが以下の2つです。
この違いは抗原の提示の仕方に直結します。BNT162b1 は分泌されて体液中に漂う形、BNT162b2 は感染細胞や抗原提示細胞の表面に固定された形で免疫系に提示されます。
米国で実施されたPhase 1試験(18–55歳と65–85歳の健康成人対象)で両者を直接比較しました。
選定の主な理由は以下の通りです:
これらのデータを踏まえ、BNT162b2 が Phase 2/3 の主候補に選ばれ、最終的にComirnaty(トジナメラン)として承認されました。
膜貫通ドメインを持つことで、スパイクが細胞表面に自然に近い形で提示され、中和抗体を効率よく誘導しやすくなります。また、MHCクラスI/II経路を介したT細胞応答の誘導にも有利です。一方、分泌型RBDは中和の主要標的であるRBDに焦点を当てられる利点がありましたが、反応原性とエピトープの広さのバランスで全長型が優位になりました。
なお、Moderna の mRNA-1273 も同様に全長スパイク+2P変異の膜アンカー型です。
ご質問の内容は正確で、開発過程で意図的に「分泌型 vs 膜固定型」を比較した結果、膜固定型が採用されたという経緯は事実です。より詳細な原論文や規制文書が必要であれば、さらに掘り下げて説明できます。
Safety and Immunogenicity of Two RNA-Based Covid-19 Vaccine Candidates ▶ ▶ ▶
BNT162b2 vaccine induces neutralizing antibodies and poly-specific T cells in humans ▶ ▶ ▶
注:ワクチンが液性免疫を刺激してスパイクに対する抗体産生を誘導するだけでなく細胞性免疫をも刺激することがメリットであるような回答になっていますが、細胞性免疫でも抗原原罪が起こり、細胞性免疫がスパイクの細胞内産生に偏るというデメリットが起こることになります。
◆ 2022.03.30
BNT162b1(スパイク受容体結合ドメインRBDをコード)とBNT162b2(膜貫通型スパイクタンパク全長をコード)で発熱がb1のほうが多く、臨床応用されたのはb2だった。発熱が多いのは、抗原原生(免疫反応を引き起こす力)が強いということで、副作用が増えることが懸念された。 https://t.co/leL5TLAsML https://t.co/AmYyRBUEE2
— WB (@Wb29304326Wb) March 30, 2022
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