コロナウイルスの表面にはスパイク(スパイクタンパク)と呼ばれるトゲトゲ(突起)があります。
ウイルスはこのトゲトゲ(スパイク)を使ってヒトの細胞に取り着き、細胞内へ入り込みます。
ウイルスに感染した細胞は、中でウイルスを大量に作り放出します。
感染細胞は、作っているウイルスタンパクの一部を適当な長さで切り出し、免疫系に抗原の候補として提示します。
コロナウイルスの感染後には
特に、スパイク(トゲトゲ)に結合する抗体(抗S抗体)は、ウイルスを絡めとり、細胞への結合を妨害するので強力な免疫力を発揮します。
2021年令和3年、日本国民の8割が接種したファイザー社やモデルナ社のmRNAワクチンは、このスパイク(トゲトゲ)をコードしています。
このときのmRNAワクチンは、トゲトゲ(スパイク)の情報のみを持っています。
体内に注入されたmRNAワクチンの粒子は、流れていった先であらゆる種類の細胞に取り込まれます。
細胞に入ったmRNAは、細胞のタンパク合成装置を利用してウイルスのトゲトゲ(スパイク)を大量に作ります。
トゲトゲ(スパイク)の一部は適当な長さで切り出され、免疫系に抗原の候補として提示されます。
トゲトゲ(スパイク)をコードしたmRNAワクチンの接種後には
ウイルス感染の場合は、ウイルスを構成する、またウイルスが産生する全種類のタンパクに対して免疫系が反応します。
スパイクをコードしたmRNAワクチンの場合は、スパイク(トゲトゲ)に対してのみ免疫系が反応します。
スパイク用mRNAワクチン接種後は、自然な感染後に産生される抗S抗体(スパイクに結合する抗体)の数倍~数十倍量の抗S抗体が産生されます。
スパイク用mRNAワクチン接種後は、免疫系全体が「変調」を来し、様々な副作用の原因のひとつになっているようですが、ここでは(抗原原罪を紹介したいので)スパイクに対する抗体のみに着目して説明を続けます。
さて、次図のように流行が繰り返されると仮定します。
過去に存在しなかったために人口の大部分が強い免疫を持っていない新種ウイルスA株の散発的な小流行がおこるようになったとします。
小流行なのでウイルスに大きな変異はおこりません。
このA株ウイルスのスパイク(トゲトゲ)に対するmRNAワクチンもすぐに開発されたとします。
A株による先行感染やA株スパイク用ワクチン(ここでは主にmRNAワクチン)で作られた抗S抗体(ウイルスのスパイクに結合する抗体)は、大流行1波(ほぼA株と同じ)に対してはとても有効ですが、大きな変異が加わる大流行2波以降(B株以降)に対してはまったく無効です。
それは、抗原原罪(こうげんげんざい ≒ 免疫刷り込み)という現象が起こるからです。
ぶっちゃけページなので、無効と言い切っています。
ゆっくりと順番に説明していきます。
次図は、スパイクタンパクのアミノ酸配列を簡略的に描いたものです。
左側がスパイクの根元、右側がスパイクの先端です。先端部を使って細胞に付着します。
スパイクの全アミノ酸配列に抗原性がある(抗体が産生される)わけではありません。
また、すべての抗S抗体が一様に強いウイルス中和能力(ウイルスに結合して感染能力を奪う能力)を持っているわけではありません。一般的には細胞にくっ付く部分、つまりスパイクの先端にあるアミノ酸配列に対する抗体が強い中和能力を持っています。
A株大流行1波の前に、みんなより先に早く「先行感染してできた抗S抗体」や「A株用に用意されたmRNAワクチンを接種してできた抗S抗体」は、大流行1波に対してきわめて強力な免疫力を発揮します。
では、A株先行感染やA株スパイク用mRNAワクチン接種後、大流行1波(A株)を無事にクリアし、大流行第2波(B株)を迎えたとします。
ここで、B株に感染したとすると、身体内では何が起こるでしょうか?
免疫系は、A株スパイクとB株スパイクに共通する抗原配列に対する抗体を大量に産生します。
変異して新たに出現したB株固有の抗原配列に対する抗体は、一切作られません。
このように、先行感染やワクチン接種で覚えた抗原にこだわって、新しい抗原に反応できなくなることを抗原原罪(≒ 免疫刷り込み)といいます。
では、B株スパイク用ワクチン、C株スパイク用ワクチンと、ウイルス変異を追いかけて作ればよいのでしょうか?
抗原原罪の仕組みをよ~くご覧ください。
そういうことをすれば免疫系は「A株、B株、C株」に共通の抗原配列のみに大量の抗体を産生するようになります。
強力な中和抗体はスパイクの先端近くの抗原配列(変異の多い部分)に対する抗体であり、多くの株に共通の抗S抗体はスパイク先端に対する抗体ではないので無力な抗体です。
コロナウイルスの大流行が繰り返されている時期は、スパイク用mRNAワクチンを接種することは、「免疫学的には無駄」です。
ぶっちゃけページなので、無駄なものは「ムーダ!」と言い切ります。
しかし、
コロナ用だろうと、インフルエンザ用だろうと、
新しく登場したmRNAワクチンを接種することには、とても重要な意味があり、現代文明全体に対する大きな貢献だと考えられます。
「ワクチンはムダ論」や「mRNAワクチンの様々な副作用問題」をぶっ飛ばすほどの重要性があります。
したがって、mRNAワクチンの接種を希望する方はどんどん接種してかまわないでしょう(・・・推奨しているわけではありません)。
また、他人に接種を強制するのはやめましょう。人間関係、大事ですからね。
ちなみに、私自身はmRNAワクチン未接種・コロナ3回感染であり、感染後にコロナに対する抗S抗体や抗N抗体を調べまくって、抗原原罪の出現を確認しました。
詳細な検査のできない臨床レベルで抗原原罪を見つけることはほぼ不可能であり、私のデータはかなり貴重です。
ほぼ全データを「3-5.感染例からコロナの免疫を知る」に載せています。
mRNAワクチンは現代文明の救世主のようなものです。少し視点を変えると、mRNAワクチンが素晴らしいワクチンであることがわかります。詳細は「3-7.ワクチン接種したのになぜ感染したのか」で説明しています。
ぶっちゃけ、(大流行を繰り返すとき)スパイク用ワクチンは免疫をつけるという意味ではムダです。役に立っていません。
しかし「mRNAワクチン接種」は・・・別の意味でとても役立っており、接種推進はとても重要な超国家的な(世界的な)大事業です 😄
mRNAワクチンの副作用で多くの人々に健康上の不幸が起こっていますが、チカラのない日本政府ごときが「mRNAワクチン接種」をやめるということはできないでしょう。
なお、実際の感染によってできた免疫は、スパイクだけを相手にするような偏りはなく、総合的でバランスの良い免疫であり、約1年間有効です(・・・感染しても免疫はたった1年ですし、感染を繰り返すことでダメージは積み重なっていきますから・・・もう二度と感染しないように努力することが大切です)。
実際の感染の数か月後にmRNAワクチンを接種し、免疫のバランスを壊すことは「とてももったいない」ことです。